法人概要

成田久美子・木村まさ子

【写真 左:木村氏 右: 成田氏】

 

【紹介】

◆成田久美子

エフ・フィールド代表
三重県PTA連合2006副会長・保護司・光陵中学校評議委員・三重県PTAアドバイザー
いのちの重み、生きることの意味を子どもたちに感じてもらうため、日野原重明先生の「いのちの授業」普及活動を行っている。

 

◆木村まさ子

ことのは語り。
心と体にやさしい料理を提供するレストラン経営の体験から、いのちをいただくことを意識して食べることが、いかに大切か伝えている。
2人の息子の子育て体験から、母親が心に届く言葉(ことのは)を子どもに語りかけることが、いかに大切か伝えている。

著書に『育みはぐくまれ』(グラフ社)

 

エフ・フィールド代表として、小学4年生を中心に日野原重明先生の「いのちの授業」普及活動を行っている成田氏。彼女の活動に共感し木村氏も特別講師として全国で活動をしている。

彼女たちのこの活動に対する想いを聞いた。

 

家庭は畑、学校は肥料

 

――まず、エフ・フィールドとしての活動を始められたきっかけをお聞かせ頂けますか?

 

成田久美子氏(以下成田氏):
実は、最初に日野原先生の講演会に行った理由は、PTAの仕事としてでした。
そのため正直に言ってしまうと、特別なことを期待していたわけではなかったのですよね。
ですが、そこで日野原先生が「家庭は畑であり、学校は肥料である。畑の土が弱っていたらどんなに高い肥料を投入しても、作物は立派に育つことなく腐ってしまう」と、子どもを作物にたとえ、お話されました。だから家庭が一番大事なのだと。
この言葉にはっとさせられました。
PTAの役員として、家庭が一番大事だということをモットーに活動していましたからね。改めて家庭での愛情の大切さに気づかされました。
この初心を忘れずに活動するように、団体名をエフ・フィールドとしたのです。
エフは家族=ファミリー(family)のF、フィールドは畑ですね。

 

――それが日野原先生との出会いだったのですね。

 

成田氏:
そうですね。そのときに日野原先生の「いのちの授業」を知り、まだ三重県では行ったことはないということでしたので、これは是非やっていただきたい!と思ってお願いしたのです。
それから一年掛けて準備をして講演して頂いたのですが、そのときに「これは一人でも多くの子ども達に聞かせたい」という想いが生まれました。

そこで日野原先生にそのようなお話をしたところ、日本財団助成事業で作成したDVDを使っての活動の許可を頂けたのです。そこから現在の活動が出来るようになりました。

 

「無償の愛」に立ち返って欲しい

 

――なるほど。そのような経緯があったのですね。
はじめて「いのちの授業」について耳にしたとき、小学生だけを対象としているのだと思いました。 ですが成田さんの団体では保護者の方々や先生方にも、すべての方々にという想いで活動なさっているのですね。

 

成田氏:
はい。一年目は子どもたちを対象として授業を行っていました。
しかし活動を続けていくうちに、保護者の方々と子どもたちが授業の内容を共有することで活動の意味が倍増するのでは、と考えるようになりました。
そこで二年目からは、活動に余裕も出てきたので、出来れば保護者の方々にも参加して頂きたいという方向にシフトしたのです。

これはやはり大成功だったようで、子どもたちだけでなく保護者の方々や先生方も色々と感じて頂けているように感じられます。嬉しい限りです。

 

――たしかに、悲しい事件が多い時代ですから、親子で改めて命について考える機会というものが必要ではと思いますね。 現代社会においては、子どもに対して過度な期待を押し付けたりネガティブな言い方をしてしまったりする親御さんも多いようですが、それについてどう思いますか?

 

木村まさ子氏(以下木村氏):

これからどんな芽がでるか、可能性がいっぱいある子ども達、沢山の認める言葉、そして喜ぶ言葉、うれしい言葉、心がほっこりほっとする言葉などシャワーのごとくふりそそいだら、きっと生命力のある元気な芽がいっぱい育つでしょうね。

 

成田氏:
「生きているだけで百点満点」ということに改めて気づいて欲しいと思います。
これは子どもに接するときに、一番大事なことだと思っています。

 

――今の親御さんはそれに気づいてらっしゃらない方が多いのでしょうか。

 

成田氏:
子どもが生まれてきてくれた最初の頃は誰もが思っていることなのです。
それなのに子どもの成長と共にいろいろな期待が膨らんで、いつの間にかその気持ちを置き忘れてしまうのです。
でも、それをまた思い直して欲しいのです。
そのためにも「無償の愛」という部分に立ち返って貰いたいと思います。私は、自分達の活動が何かを変えられるほど大きなことが出来るとは思っていません。
ただ、命について親子で考えるきっかけになれれば、生まれてきてくれて傍にいてくれるだけで充分なのだということを、そして、自分は愛し、愛されている存在なのだということを改めて感じてもらえれば、それでいいのです。

それが、日野原先生の想いにもつながると想っています。

 

子どもたちの喜ぶ顔が自らの喜びになる

 

――活動を通して、やりがいを感じる瞬間とはどのようなときでしょうか?

 

成田氏:
子どもたちが喜んでいるところを見たときですかね。聴診器を渡すときなどに、子どもさんたちは本当に嬉しそうに顔を輝かせてくれます。
先生方もこのような瞬間に喜びを感じて仕事をしてらっしゃるのかなと、こちらもなんだか一緒になって嬉しくなってしまいますね。
日野原先生へのお手紙を受け取り、それを読み返す時に、子どもたちの想いや気づきに感動します。

 

木村氏:
やはり、聞いて下さっている方の目の輝きや頬の紅潮など、それまでとはその場の空気がすっと変わって自分の方に熱心な眼差しが向けられる瞬間というのはとても心地がいいものですね。
こちらの伝えたいことを少しでも理解してもらえているっていうのを体感できたときには、嬉しい気持ちになります。

少しでも心に入ったなら、それは自分の命を大事に出来るというところに必ずつながりますから、それは本当に大きなやりがいであると感じています。

 

「いのち」とは限りあるもの

 

――では最後に、お二人にとって「いのち」とはどういうものかをお聞かせください。

 

成田氏:
永遠ではなく限りあるものだからこそ、大切にしなければならないものですね。
日野原先生に出会うまでは命というものはあることが当たり前で、ただ健康で日々生きていることに感謝という感じでした。
しかし、現在の活動を通じて様々なこと勉強させていただいてからは、まさに「時間」であると感じています。
命とは時間という限りがあるものだと考えられるようになったのは、大変に幸運だったと思います。
これを知っているだけで、これからの生き方が全く変わりますからね。そういう点でも日野原先生には大変感謝しています。

 

木村氏:
命を表現するときによく「限りあるもの」という表現を用いますが、まさにその通りだと思います。
自分の命が、何年・何月・何日・何時・何分までという保障はどこにもありませんよね。私も日野原先生に出会い皆様にお話をするようになって、それまでよりも時間というものが自分にとって身近なものに感じられるようになりました。
命という字からしましても、「人に一度叩かれる」というかたちをしています。
ですが、叩かれるといってもぶたれるということではなく、感動するということではないでしょうか。色んなことを感じ色んな想いを膨らませることによって、命を、そして人を成長させることが出来るのだと思います。
本当に大切なものは触れることはもちろん目にすることも出来ません。
命とは本当に一瞬一瞬その時である、時間である、そして自分自身そのものであると思います。

 

インタビュー日時/2010年5月